
ファインダーを通じた定点観測から見えてくること
ーブルックリンの街並みやアメリカの建築を長年にわたって撮影しているプロジェクトについて教えてください
はじまりは、2001年に「Riverside Story」というブルックリンのウィリアムズバーグを撮影したものです。
その年、僕はウィリアムスバーグに引っ越しました。今でこそおしゃれに整備された地域になりましたが、もともとはインダストリアルで殺伐とした街でした。当時は空き倉庫などの広いスペースを求めてアーティストやスケーターが集まり、とても自由でポジティブなエネルギーに満ちていました。その空気に惹かれこの街を撮影するようになりました。そうして9.11が突如ニューヨークを襲いました。Riberside Storyの1冊目には、ウィリアムズバーグの日常と、9.11という凄惨な出来事に直面した人々や街の風景と移り変わりが収められています。
それから10年後の2011年に、同じエリアで再び撮影しました。この間、僕はウィリアムズバーグという街を本当に好きになりました。光だったり空気だったり生きている人々だったり、そこで起こっている日常の全てに目を奪われるのです。ブルックリンブームの最先端でもあったこの地の変貌ぶりは凄まじく、時間の中で何かを見ることに感じるものがあり、10年経ってもますます面白い。そうして「Riverside Story2」としてまとめました。今年は2021年なのでRiverside Storyからちょうど20年です。今年もまた、同じスタイルで撮ろうと思っています。
こういった活動は定点観測的な意味合いもあり、時間の中でも一冊一冊違うストーリーが見えてくる、僕のビジュアル日記でもあります。 生身の人が居て、建築的な空間もあり、そこから一つのストーリーを作る。アーティストや作品を撮影する場合も、建築家と建築物を撮影する場合でも視点は同じです。エンバイロンメンタル・ポートレートやシティスケープ・フォトグラファー的な視点です。このスタイルでの撮影が、何より一番楽しく、僕のフォトグラファーとしての立ち位置だと思っています。